FBで知り合いになったヒロタさんより待機児童ゼロチャレンジ」というブログのバトンが回ってきました。企画の内容はこちら。
ヒロタさんは福岡の高校で数学と柔道を教えている
先生です。お会いしたことはありませんが、楽しそうな授業の様子がブログの記事から伝わってきます。今回の記事はこちらから。

なんかバトン受け取ったとたん、先回りしてハードル上げられた感満載なんですけど(^^;
;
まぁ高すぎて跳べないなら下をくぐっていこうという前屈(偏屈?)の精神で、いつもの調子で書いていこうと思います。

流れに沿って考える

問題への対応を考えるときの1つのアプローチとして、その問題がどういうプロセスで発生しているのかを整理して、それぞれのステップでの対策を考えていくというやり方があります。

例えば「風邪をひく」ということに関して、最終的には咳が出たり熱が上がったりという症状が出て苦しくなるわけですが、元をたどっていくと、

④症状が出る。

③ウイルスが体内で増殖して免疫が反応する。

②粘膜をくぐり抜けたウイルスが体内に侵入する。

①鼻や口からウイルスが入ってくる。

となります。

病院に行くと薬を処方されますが、薬は基本的には④への対応です。不快な症状をやわらげる効果はあっても、ウイルスをやっつけてくれるわけではありません。
かぜの原因となっているウイルスを追い出すには自分がもっている③の免疫にがんばってもらうしかないので、気合で体を温めて安静にして治るのを待つことになります。

しかしウイルスが体内に侵入してくることがなければそもそも風邪にはかかりません。①や②の対応として、人込みを避けたり、湿度を保ったりすることで、風邪を予防しておくことが大切です。

じゃあ待機児童の問題がどういうプロセスで発生しているかというと、これには色んな要素が絡んで単純にはいかないと思うのですが、とりあえず1つの流れをつくってみるとこんな感じになります。

③一日中子どもの世話をしないといけないので仕事に行けない。

②保育所の定員が足りず、
いっぱいで入れない。

①住んでいる地域に小さな子どものいる共働き世帯が増えた。

この流れに沿って対応を考えてみます。

柔軟な働き方ができるようにする

まず③から。保育所に入れなくても仕事ができる方法はないかということです。

例えば、夫婦ともに在宅勤務や時短勤務、週3日勤務といった柔軟な働き方が可能であれば、2人とも仕事を続けられるかもしれません。朝から晩まで子どもを見てくれる保育所には入れなくても、短い時間なら見てもらえる保育施設や保育ママを活用することも考えられます。

これには会社の理解やこうした働き方に対応できる仕組みが整っていることが前提であり、実際にはなかなか難しいかと思います。ただ、育児のほかにも介護離職の問題もあり、会社としても社員が家庭の事情で辞めなくて済むような仕組みを作っておく必要性は、今後高まっていくのではないでしょうか。

でも保育所に入れるようになればそれに越したことはないですよね。③はあくまで最後の手段です。

人と場所の確保

次に②です。待機児童問題への対応として取り上げられるのは、通常この部分です。つまり、保育所の定員をいかに増やすかです。

僕の住んでいる伊丹市では幸いそこまでひどい状況ではなく、うちの3人の子どもは0歳か1歳の4月に保育所に入れたので、妻はその時点で仕事に復帰することができました。しかし、定員は増やしているにもかかわらず、待機児童は発生しているようです。(伊丹市の待機児童の状況

今もちょうど近所で新しい保育所を建てています。この4月に開園予定です。
DSC_0355

完成イメージはこちら。開放的でいい感じですね。近いしこっちに移ってもいいかもと思うくらいです。

でもやっぱり気になるのは保育士の確保です。求人票がでていますが確保できているのかどうか。以前保育士の年収の記事で書いたとおり、待遇を改善しない限り安定して人材を確保するのは難しいのではないかと思っています。

あとは場所の問題。今建設中のこの保育所、近隣の住民からは反対の声があったという話を聞きました。確かにうるさくなるでしょうし、車での送迎は禁止されていても車で来る親は出てくるでしょうから、来てほしくない気持ちもわかります。

保育所が足りないような地域では、たぶん用地を見つけるだけでも大変だと思いますが、それに加えて住民の理解を得るための対応も必要となると、保育所を増やすこともそう簡単なことではなさそうです。認可保育所を作るには施設の広さとか、園庭の広さとか、色んな基準があると思いますが、これらを緩和することで作りやすくなるのなら考えてみるべきでしょう。

まちづくりから考える

最後に①について考えてみます。ここはかなり想像で書いちゃってます。

日本全体で少子化が問題になっているのに待機児童が増えている要因の1つには、特定の地域に、特定の時期に、対象となる世帯が急に増えていることがあるのではないかと思います。つまり偏っているということです。

今回声をあげたYuichiさんのいる川崎市には、僕も2004年から2年半ほど住んでいたことがあります。同じ川崎市でも場所によって状況は異なるのではないかと思いますが、僕の住んでいた武蔵小杉近辺では当時マンションが建ち始め、伊丹に引っ越してきたあとにはさらに開発が進んで新しい駅もできたので、若い夫婦もかなり増えたのではないかと思います。

一時期にどっと保育が必要な子どもが増えると、当然保育所の対応は遅れるでしょうし、対応が終わったころには対象となる子どもの数は減ってしまっているということにもなりかねません。後のことを考えると、新しい施設を作ったり、民間の事業者が参入するのはためらわれるでしょう。

そうすると、やっぱり都市計画(まちづくり)から考える必要があるのではないかと思います。保育所の問題だけでなく、ニュータウンと呼ばれている昔の団地は住民が一斉に高齢化してゴーストタウンとなりつつあります。長い目で見て世代間のバランスの取れたまちづくりができていれば、こうした問題をもそれほど深刻にはならないのではないでしょうか。

以前カンブリア宮殿という番組でユーカリが丘というニュータウンが紹介されていたのを見たことがあります。番組の紹介を一部抜粋します。
実は、山万は鉄道、学校、老人ホームなど住民の生活に必要なインフラを自前で作ってきたのだ。ニュータウン内を走る新交通も自前で運営、警備会社も自前、 来客が泊まれるように作ったホテルも、温泉スパのあるレジャーセンター、保育所なども全て自前で運営している。さらには、学校も自前で建築し市に寄付、県 内最大規模の映画館やスーパーなども全て、山万が建物を貸与し、誘致してきた。
しかし、年間販売数は僅か200戸。目先の利益を追わない超長期経営、景気に左右されない超安定経営。
その狙いは、「家を売るのではなく街を売るコミュニティービジネスが基本。そのためには売り上げの拡大のみを追うのではなく、非効率的な経営も行わなければならない。その結果、長期安定経営が可能となる。」

これはすごいと思いました。本来は行政がやる仕事でしょう。でも役人は数年で異動しますし、市長にも任期があります。超長期の計画を立てて実行するのを期待するのは無理があるのかもしれません。

でもこれから人口がどんどん減っていく中で地域を成り立たせようと思ったら、そうも言ってられなくなるんじゃないでしょうか。待機児童の問題から話が膨らんできましたが、目先のことだけを考えていても、根本的な解決にはならないように思います。

* * *

とまあいろいろ書いてみましたが、待機児童の問題を解決するには、どうやってもそれなりに時間がかかるでしょう。以前「保育所は保育サービスを受けるだけのところか」でも少し書きましたが、当事者が声をあげてもその対応が実現するころには子どもは大きくなって当事者ではなくなるというのは大いにありうることです。

そんな中でこうした企画を立ち上げて行動を起こすというのは、それだけで大いに意義のあることだと思います。今後の展開を見守りたいと思います。

さて次はこちらのブログの筆者にバトンを渡したいと思っています。フルマラソンを2時間台で走りきる強者です。僕の100倍は顔が広いので拡散効果は抜群なはずです。実はまだバトンを渡すことについて返事をもらってないのですが…受け取ってくれることを期待してます(^o^)/